カンファレンスとは?ミーティングとの違い、目的や具体的開催方法を解説
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「カンファレンス」という言葉が広く使われるようになりました。しかし「カンファレンス」は医療やスポーツ、ビジネスなど、使われる業界によって意味が微妙に異なる、混乱しやすい言葉でもあります。そこで、今回は「カンファレンス」の意味や業界別の使われ方、実際にカンファレンスを開催する際のポイントなどについて解説していきます。
カンファレンスとは
「カンファレンス」はもともと英語で「会議」や「協議会」などの意味を持つ単語です。
Conference【名詞】
研究社 新英和辞典より引用
1可算名詞 会議,協議会 《★【類語】 ⇒meeting》.
hold a conference 会議を催す.
2不可算名詞 相談,協議(すること).
meet in conference 協議に集まる.
3可算名詞 《主に米国で用いられる》 (学校・プロバスケット・スポーツクラブなどの)競技連盟,リーグ,カンファレンス.
現在、日本ではこの意味をベースに業界によって微妙な使い分けがされています。
「カンファレンス」がよく使われる業界とは?
日本で「カンファレンス」がよく使われているのは医療・介護業界で、次いでビジネス業界や学問分野です。もともとは医療業界を中心に広まっていた言葉で、最近になってビジネス業界でも使われるようになりました。なお、スポーツ界でも使われていますが、これは他業界とはだいぶ異なる意味のため注意が必要です。
それでは、業界別の意味を見ていきましょう。
医療・介護業界の「カンファレンス」は「ミーティング」
現在、日本で最も「カンファレンス」という単語が使われているのが医療・介護業界です。人によっては医療・看護業界の専門用語だと思っている人もいるほど、業界内で一般化しています。
医療・介護業界におけるカンファレンスは「会議」という意味です。特に小規模(数人~多くても数十人)の会議を指すことが多く、他業界における「ミーティング」や「打ち合わせ」の意味で使われることもしばしばあります。この業界のカンファレンスは基本的に関係者のみが参加します。
また、患者さんを交えた治療方針の説明や、退院前の社会復帰の検討をする機会もカンファレンスと呼ぶことがあります。このように幅広い意味を持つため、医療業界で使われる際には「チームカンファレンス」「ケアカンファレンス」「臨床病理カンファレンス」など、カンファレンスの前に「何についてのカンファレンスか」を説明する言葉をつけるのが一般的です。
ビジネス業界での「カンファレンス」は「大規模会議」
最近、ビジネス業界でも「カンファレンス」という単語をよく聞くようになりました。この場合のカンファレンスは数百人~それ以上が参加する「大規模の公的会議」の意味が強くなります。また、専門性が高いテーマを扱う場合にも使われます。小規模の会議にも使うケースはありますが、ビジネス業界では小規模の会議をミーティングと呼ぶことが多いため、よりイベント的な大きい規模感のものや重要な内容を話し合う機会を指す言葉として選ばれています。また、医療・介護業界同様「〇〇カンファレンス」と表記し、何についてのカンファレンスかを示すのが一般的です。
学問分野での「カンファレンス」は「学会」
学問分野においては、研究の進展の報告や発表を行う集会、いわゆる学会を意味する言葉として「カンファレンス」が使われています。学会という単語には学術研究を行う団体と研究発表会、両方の意味がありますが、カンファレンスはあくまでも研究発表会のことを指します。ビジネス業界同様、規模が大きく、専門性が高く、公的な会議を指すケースが中心です。
スポーツ界での「カンファレンス」は「競技連盟」
「カンファレンス」を今までお話ししてきた意味と全く違う意味で使っているのがスポーツ界です。スポーツ界の場合、カンファレンスは会議ではなく「競技連盟」の意味が強くなります。メジャーリーグの「アメリカンリーグ/ナショナルリーグ」、プロ野球の「セ・リーグ/パ・リーグ」のイメージです。
カンファレンスの略語はある?
カンファレンスという単語自体が少々長いため、「CF」「カンファ」という略称が用いられることがあります。カンファはわかりやすいですが、CFは言われてもピンとこなかったり「クラウドファンディング」の略称として使われている傾向もあるため、少し注意が必要です。
カンファレンスは「ミーティング」や「ディスカッション」とどう違うの?
「カンファレンス」と聞いて「えっ、ミーティングじゃないの?」「ディスカッションとはどう違うの?」と思った方もいるのではないでしょうか。特にビジネス業界においてはこの3つの単語が並んでいることが多く、混乱しがちです。
ここからはカンファレンスとミーティング、ディスカッションの違いを見ていきましょう。
なおこれはビジネス業界での使い分けとなり、医療業界とは異なります(そもそも、医療業界では「ミーティング」という言葉自体があまり使われていません)
「カンファレンス」と「ミーティング」の違い
ビジネス業界でミーティングとカンファレンスを分けるポイントは「人数(規模)」と「対象者」です。例えば、社内で行うプロジェクトの進捗確認や連絡をメンバー同士で行うのは「ミーティング」、社外向けに参加者を募集したり専門家を集めたりする、規模の大きな会議は「カンファレンス」となります。また、カンファレンスは外部向け要素が強くなるため、イベント的な企画を必要とするケースも多いようです。
「カンファレンス」と「ディスカッション」の違い
カンファレンスとディスカッションの場合、規模感もですが、そもそも目的が異なります。ビジネス業界におけるカンファレンスは主催からの情報提供や意見のすり合わせ、専門家による研究発表など、目的に合わせて様々な要素が組み合わさることが多くなります。それに対し、ディスカッションはあくまでも「(少人数での)討論」。特定のテーマに対して少人数でのグループを組み、意見を出しあって協議することを指します。カンファレンスのプログラムのひとつとしてディスカッションが行われることはありますが、逆はありません。
「ミーティング」と「ディスカッション」の違い
ミーティングとディスカッションも違いが分かりにくい言葉だとされています。この2つは共に小規模で行われるため、より混乱しやすいかもしれません。
2つの違いは「目的」です。ミーティングは「小規模で集まって」「何かをする」ことを指します。この「何か」には情報共有や報告、相談、打ち合わせ、確認等、様々なものが該当します。
これに対し、ディスカッションは「小規模で集まって」「討論する」ことを指します。ミーティングはそれだけでは何をするかわかりませんが、ディスカッションは何をするか明確なのです。
カンファレンスが使われるシーンや目的とは
ミーティングや株主総会、キックオフ、新商品発表会、パネルディスカッション等々、様々なイベントがある中、ビジネス業界であえて「カンファレンス」という言葉を使うのはどんな時でしょうか?
ビジネス業界において「カンファレンス」という言葉は公共性と専門性の高さと結び付いています。その視点に立てば、自社の商品やコンテンツに関連する専門的な情報を扱いたい、複数の会社で協力し、業界そのものを外部にアピールしたいときにカンファレンスが向いていると考えられます。カンファレンスという言葉が使われるようになったことにより、商品やコンテンツではなく、そこにまつわる専門知識や情報に焦点を当てたイベントにも注目が集まりやすくなっているのです。
ビジネスカンファレンスの開催方法
ここまでお話ししてきた通り、カンファレンスといっても内容は様々です。ビジネス業界におけるカンファレンスは規模が大きくイベント的な要素を含みやすいため、「どんなイベント(企画)にしたいか」というイメージを明確にして組み立てていく必要があります。
・何についてのカンファレンスなのか
・登壇者は誰か
・参加者は誰か
等々をまとめることで、望むカンファレンスの形が見えてくるはずです。ここでは開催形式ごとのメリット・デメリットを上げていきましょう。
リアル開催
セミナールームやホテルの宴会場などに参加者を集めて行う形式です。専門性が高く参加者が限定される場合、社内研修の要素が強い場合に向いています。
オンライン開催
司会や登壇者のみを会場に集め、参加者はオンラインで参加する形式です。参加人数に上限がなく、世界中どこにいても参加できるのが大きなメリットです。一方、画面が単調になりやすい・双方向性を持たせにくいというデメリットもあります。
ハイブリッド開催
リアルとオンラインを合わせた開催形式です。リアル会場に司会と登壇者、一部の参加者を集め、その様子をオンラインでも配信します。リアルの双方向性や熱気、オンラインの規模感を両立させることができます。リアルと配信を同時に行う分、開催ハードルが少々高めになる傾向があります。
なお、弊社ではオンライン/オフラインにこだわらず、クライアントの狙いをしっかりキャッチし、狙った効果を得られるイベントプロデュースを行っております。カンファレンスでイベント会社を使いたい際はぜひ弊社もご検討ください。
ビジネスカンファレンス開催の流れ
カンファレンスを開催するにあたり、最も迷うのがビジネスカンファレンスです。ビジネスカンファレンスは最近出てきた言葉ということもあり、開催経験がない企業も多いはず。ここではビジネスカンファレンス開催の流れについてご紹介しましょう。
1.5W2Hを考える
ビジネスカンファレンスを企画する際に真っ先に考えるべきは5W2H(「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」「How Much(いくらで)」)です。この要素を固めることで土台がしっかりし、企画に芯が通ります。また、この段階で自社内企画で可能か、イベント会社への依頼が必要かもめどが立ちます。
2.会場、登壇者を決める
5W2Hをもとにカンファレンスのテーマ、コンセプトを決め、最適な開催形式や会場、登壇者などを決めていきます。会場・登壇者共にスケジュールの調整が必要になるため、5W2Hが決まったら早めに取り掛かることが大切です。
3.告知する
開催準備と共に重要なのが告知です。内容にもよりますが、カンファレンスは強制参加イベントではないことが多く、いかに参加者を集めるかという集客の部分が非常に重要です。なるべく早い段階から告知を開始し、参加希望者のスケジュールを押さえてもらうようにしましょう。
4.準備する
開催に向けて準備します。どのぐらいの準備期間が必要かはイベントの規模感によって大きく変わります。ビジネスカンファレンスは参加者が多くなる傾向があるため、当日の導線や配信環境などにも注意が必要です。
5.開催する
いよいよカンファレンス当日です。スムーズに進むようしっかりと流れを作り、きめ細かな対応をしていきましょう。
6.アンケート等でフィードバックをもらう
カンファレンスの成否のカギを握るのは「参加者が何を受け取ったか」です。開催終了後は必ずアンケートを取り、目的が達成されているか、予想した反応が得られているかなどを確認しましょう。
大規模カンファレンス事例5選!
ここまでカンファレンスの説明をしてきましたが、やはり百聞は一見にしかず。ということで、大型カンファレンス事例を5つほどご紹介しましょう!
Rakuten OPTIMISM
Rakuten OPTIMISMは楽天が主催するビジネスカンファレンスイベントで、楽天のメインビジネスであるオンラインショッピングモールを取り巻く様々なテーマを取り上げ、セッションを行っています。
セッションの内容はWeb3.0やDXの他、マーケティング、サステナビリティ、ファンづくり、イノベーション、観光立国論など本当に幅広く様々なテーマがあります。完全オンライン開催だった2021年度は期間中の視聴者が26.7万人と規模の大きさでも日本最大級のカンファレンスです。
JAPAN FINTECH FESTIVAL
JAPAN FINTECH FESTIVALは一般社団法人Fintech協会が主催するカンファレンスです。fintech(金融+テクノロジー)の業界においては業界最大級のグローバルカンファレンスで、単にセッションを聞くだけではなく、スタートアップ企業がプレゼンをして投資家から投資を募るピッチイベントが行われたり、オンライン上で名刺交換ができたりと交流面にも力を入れています。
Climbers
Climbers(クライマーズ)はEight(Sansan株式会社)、株式会社テレビ東京 、GOETHE(株式会社幻冬舎)が主催するカンファレンスイベントです。カンファレンスイベントには業界の専門家を集めたスタイルが多いですが、このClimbersは「様々な壁を乗り越えてきた各界のトップランナーによる、人生の特別講義を提供する」というキャッチコピーの元、各界リーダーによる体験談やマインドセット等、元気が出るようなセッションが開催されています。
Cybozu Days
Cybozu Daysはサイボウズ株式会社が主催するカンファレンスイベントです。サイボウズのサービスであるCybozuやkintoneの活用法などのセッションの他、展示ブースや撮影ブースなどのエンターテイメントコンテンツも盛り込まれており、幅広いユーザー層が楽しめるカンファレンスイベントになっています。
HearthTech/SUM
HearthTech/SUMは日本経済新聞社とメドピア株式会社が主催する、医療・ヘルスケア分野の最新テクノロジーと、その活用事例を紹介するスタイルのグローバルカンファレンスイベントです。ヘルステック(Hearth+Tech)最新技術や情報のシェアの他、ヘルステック領域におけるネットワークの活用、ヘルステック新商品の紹介など、ヘルステック分野の関係者にとって重要な情報が集まったカンファレンスです。
社内イベントのカンファレンス事例
カンファレンスというと上記事例のような大型イベントをイメージすることも多いのですが、実は社内イベントとしてのカンファレンスも積極的に開催されています。ここでは弊社が手がけた社内イベントとしてのカンファレンス事例をご紹介します!
いすゞ自動車
いすゞ自動車は社内の2つの層に向け、社内カンファレンスイベントを開催しました。
部長と弊社の変革をリードする役割を期待されている若手メンバーが対象の『Isuzu Innovation Day』、役員やグループ関連企業のトップなど、経営リーダー層を対象とした『Isuzu Group Leadership Summit』の二つです。それぞれ別に開催し、参加条件を設けたことで層に合わせたカンファレンスができただけでなく、『カンファレンスに参加したい』という意欲を盛り上げることにも繋がりました。
JT(にほんたばこ産業)
JTではJT版ChatGPT(JAC)の業務における使い方や課題解決方法などを紹介する社内カンファレンスイベントを開催しました。あえてリアルでのカンファレンス『イベント』を行ったことにより、それまでの広報ではリーチできなかった社員が興味を持ち、課題となっていたAIプラットフォームの知名度が上昇、社内でのAI活用率が一気に数倍となりました。
まとめ
ビジネスカンファレンス、つまり「公共性のある大規模会議」はオンライン全盛の今、ニーズが高く、様々な広がりが期待できる側面があります。様々な意味で使われているカンファレンスですが、ビジネスカンファレンスのニーズはこれからも高まることでしょう。BtoBはもちろん、BtoCのコンテンツ、イベントとしてカンファレンスを考えてみるのも一つの戦術かもしれません。