世界最大規模のITカンファレンスから学ぶ、オンラインイベント演出のポイント
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こんにちは!GP藤原です。
大型イベントの実施方法について見直しが進む中、ITカンファレンスもオンラインでの開催が主流になりつつあります。2020年は国内外問わず、またイベント規模の大小も関係なく、大半がオンラインで行われました。
イベントの舞台がオンラインに移り変わったことによって、開催する側にとっての制約、デメリットも当然ありますが、逆にオンラインならではのメリットを活かしたITカンファレンスも多数開催されています。
今回は世界的に知られる大規模なITカンファレンスの事例を解説しながら、オンラインでどのような可能性が広がったのか、具体的にご紹介していきます。
世界最大規模のITカンファレンス「WWDC」の場合
今回、一つ目の例として取り上げるのは、米・Apple社が主催する「WWDC(Worldwide Developers Conference)」。世界中のシステム開発者に向けて開催される、ITカンファレンスの代表格ともいえる大型イベントです。エンジニアだけではなく、一般のApple製品ユーザーの注目度も高いことで知られます。
WWDCは1990年から毎年開かれてきましたが、昨年は初めてオンラインでの開催となりました。例年はリアルな場に約6,000人が集いますが、2020年の総視聴者数は約2.200万人に上ったそうです。
1)オンライン上でインタラクティブなコミュニケーションを設計
Apple社ではオンライン開催に向けて、Web上に専用のサイトとアプリを整備。例えば社内の技術者と参加者がディスカッションする場を作るなど、さまざまな相互のコミュニケーションをオンライン上で可能にしました。
2)一本の映像作品のようにプレゼンテーションを構成
多くのITカンファレンスがそうであるように、WWDCもこれまでは、ステージ上に登壇者が登場し、プレゼンテーションをするのが定番でした。オンラインでの開催にあたり、Apple社はプレゼンテーションの見せ方、構成面でさすがのクリエイティビティを発揮しています。
2020年に行われた基調講演(キーノートセッション)はApple社の公式YouTubeチャンネルにアップされており、現在も視聴することができます。
約20名ほどのスピーカーによるプレゼンテーション、自社製品紹介が、シームレスにつながった一本の臨場感ある映像として構成されています。
総視聴者数5,600万人を誇る「Galaxy Unpacked」の場合
二つ目の事例として取り上げるのは、サムスン電子が実施した初のオンライン製品発表会「Galaxy Unpacked August 2020」です。通常開催の年の参加者は4,000人ほどだったそうですが、2020年の総視聴者数は5,600万人に上りました。
1)メインスタジオで広がる顔出しギャラリービュー
何より目を引くのは、プレゼンターが立つメインステージの背景に合成された、顔出しギャラリービュー。リアルで大人数が集まることが叶わなかった中で、関わる人たちの顔がリアルタイムで並ぶ演出がとても効果的に使われています。
2)メインスタジオの横にあるサブステージ展開
メインスタジオの横には別のサブステージが設置されていて、都度映像を切り替えることで、長時間でも視聴者が飽きないように工夫されています。
3)3DCGによる立体的な商品を打ち出す演出
商品紹介では、商品が画面から飛び出すような3DCG合成を活用。新商品をダイナミック、かつ象徴的に見せる演出が加えられています。
Galaxy Unpackedの様子もサムスン電子の公式YouTubeチャンネルにアップされており、現在も視聴することができます。
メインスタジオ背景の顔出しギャラリービューが、プレゼンターを盛りあげる演出が印象的です。
グローバル事例を紐解き、押さえるべきポイントを抽出
事例を見て「そこまで凝ったことはできない……」と思った方もいるかもしれません。確かにすべてを同じレベルで実現するのは難しいかもしれませんが、アイデアを学び、そこからヒントを得ることはできます。
WWDCとGalaxy Unpackedの事例から改めて、オンラインITカンファレンスで押さえたいポイントを抽出してみましょう。
ポイント1)トッププレゼン自体をオープニングコンテンツに組み込む
通常であればオープニングVTRを流し終えた舞台に、メインスピーカーが登場することがほとんどです。しかしオンラインなら、トッププレゼンも含めてVTRを作り込むことが可能。表情や声、立ち方、立つ場所、服装までしっかりプランニングしたうえで、映像ならではの演出を駆使し、伝えたい想いをオープニングでしっかりと表現できます。
ポイント2)映像への没入感を生み出すために「音」や「間」でメリハリをつける
配信された映像は、長時間のコンテンツを視聴者に届けるため、「音(SE、BGM)」や「間」をうまく使い、緩急をつけているのがわかります。オンライン視聴であっても、できる限りコンテンツへの没入感を得てもらうため、こうした細かい演出が必須なのです。
ポイント3)自社施設内で撮影し、企業としての一体感を演出する
特にWWDCでは、自社製品の見せ方に工夫を凝らしているのはもちろんのこと、全ての映像を自社施設で撮影しており、広大な社屋の魅力を最大限に表現しています。特につながりのない会場ではなく、自社のオフィスや施設を活用できるのも、オンラインカンファレンスのメリットの一つといえるでしょう。
事例紹介:2,000名規模のITカンファレンスを企画制作
グローバルプロデュースでも、企業が実施するオンラインITカンファレンスの企画制作をお手伝いした実績が複数あります。
例えば、さまざまな製品を展開するグローバル企業が主催したITカンファレンス。2日間で2,000名以上のビジネスパートナーが集いました。講演だけではなく、複数箇所でのセミナーや表彰式なども含め、すべてのコンテンツをオンラインで配信しています。
先述したポイントであるトッププレゼンVTRや、メリハリをつけた演出なども含め、企業イメージとカンファレンスの目的、コンセプトやターゲットに合わせた表現を追求しました。
チャットが使えるプラットフォームを採用し、視聴者と双方向のコミュニケーションができる環境も整えています。
制限されたことではなく、広がった可能性を知る
今回ご紹介した以外にも、オンラインの特性を活かしたイベントの演出方法はさまざまなものがあります。ITカンファレンスにマッチする映像技術や、コミュニケーションの手法は今後もどんどんアップデートされていくでしょう。
オンラインによって制限されてしまったことではなく、広がった可能性に目を向けて、より多くの人に届くイベント作りを目指したいですね。
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