【芸術の秋】最新技術と伝統が混じり合う美しき幻想の舞台芸術
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みなさんこんにちは。GPの宮永です。
秋と言ったら?芸術の秋!
ということで、今回は文化意欲をくすぐる旬な話題をピックアップ。伝統的な舞台に最新技術を掛け合わせた、革新的でエモーショナルなコラボレーションについてご紹介します!
伝統芸術×テクノロジーのメリット
伝統芸術といえば、バレエやオペラ、クラシック音楽に日本で言えば歌舞伎やお能など、様々なものが思い浮かびますよね。一見保守的に見える伝統的な舞台芸術ですが、ここ最近よく目にするのがワンピース歌舞伎などの最新の作品を取り入れた演目や最新テクノロジーを使用した次世代型の舞台表現です。
最新のテクノロジーを使用するメリットとしてあげるとすれば、次の3つがまず思い浮かびます。
・没入感に浸れる最新テクノロジーならではの演出効果
・人手をかけず瞬時に舞台美術を変更できる
・進化するスマホによる新たな表現方法
最新技術を使った表現といえば、まず思い浮かぶのがホログラムやプロジェクションマッピングを駆使した、大胆で迫力のある表現。シーンの盛り上げもですが、背景にプロジェクションマッピングを使うことで大道具を使わずに場面転換することもできます。
他にも、観客の手元にあるスマホを使用して参加型の舞台を作り上げるなど、テクノロジーの発達とともに様々な方法が編み出されています。
と、ここまでつらつら真面目に書いてきましたが、実際にこれまで公演されてきた舞台の事例を見ちゃうのが一番わかりやすいはず。ということで、早速「最新技術と伝統が合わさる美しき幻想の舞台芸術」の素敵な事例をご紹介していきたいと思います!
最新技術を使用した伝統芸術事例5選
【オペラ】英国ロイヤルオペラのドン・ジョバンニ
英国オペラのトップ、英国ロイヤルオペラで2014年に上演されたモーツァルトのオペラ、ドン・ジョヴァンニ。多くのファンを持つこちらの作品ですが、本舞台では全幕でプロジェクションマッピングが使われているということで当時大きな話題となりました。
主人公のドン・ジョバンニは想像力が豊かな男。そんな彼は作中様々なイマジネーションを自身の頭の中で描き出し、その世界へと突き進んでいきます。そんな彼の繊細な心情や舞台装置では限界のある幻想的なイメージの演出としてプロジェクションマッピングはまさにピッタリ。
見ているうちに幻想的な夢の中へと誘われて行くようです。作中の登場人物の一人として、同じ世界線を生きている感覚を味わえるのは最新の技術がもたらした恩恵ですよね。
【オペラ】ベルリン・コーミッシェ・オーパー(KOB)の魔笛
モーツァルトの最後の作品である魔笛はファンタジーとスリル、そしてロマン溢れる人間味あるストーリーで、世界中で愛される作品の1つです。だからこそ、様々な見方をすることができ、本当に様々なアレンジメントで上演されているんです。
その中でも突出して絶賛されたのがこちら。ベルリンの名高いオペラハウス、ベルリン・コーミッシェ・オーパー(KOB)で公演され、世界のオペラ賞を総嘗めした伝説の舞台です。
舞台は白いパネルのみの大胆なセット。そこにアニメーションを投影し、それに呼応する形で演者がパフォーマンスをしストーリーが進んで生きます。
演出を手がけた総監督で主席演出家のバリー・コスキー氏は2016年にヨーロッパのオペラ専門誌で「最優秀演出家」に選ばれた、革新的な人物。そんな彼がロンドンのクリエイター集団「1927」とコラボし、これまでにないクリエイティビティ溢れる次世代的な舞台を作り上げたんですね。
オペラ初心者でも最初から最後まで楽しめる門戸の広い作品。こういう作品が伝統を次世代に繫げるのだと納得。
【クラシック】Walt Disney Concert Hall「Amériques」
お次は、耳で楽しむのはもちろんのこと、視覚的にも音楽の世界観に入り込めるような表現をプロジェクションマッピングで実現しているコンサートをご紹介。
こちらは音楽にリアルタイムで反応するソフトを使用した演習。ソフトを開発したのはLA大の学生であるRefik Anadol氏です。
指揮者の動きに合わせ、光と映像が反応する躍動感溢れる音楽の世界。目を閉じて素晴らしい音楽を味わっているときに頭の中で渦巻くような映像が目の前に現れ、まるで頭の中を見抜かれたような気持ちに。この圧倒的な臨場感には新時代を感じざるを得ません。
言葉がなくても聞いている観客一人一人がストーリーを見出すような、そんな魔法のようなクラシックコンサート。行ってみたい!
【歌舞伎】市川染五郎「鯉つかみ」
お次は巨大噴水を余すことなく使った、壮大なホログラムが迫力満点の歌舞伎をご紹介。2015年にラスベガスのベラージオの噴水を舞台に行われた、松竹による新エンターテインメント・プロジェクトです。
ホログラム映像はチームラボが担当し、これまでなかった圧倒的歌舞伎エンターテイメントとなっています。
エンタメの街ラスベガスに響き渡る歌舞伎の音楽、舞、さらには噴水を舞台に水を利用したパフォーマンスなど、とにかく色々と規模が大きい。
当時この場にいたアメリカの人々はこの舞台を眺めて何を思ったのか気になるところ。自分たちの文化とは違う伝統芸術に驚いたことでしょう。
ワンピース歌舞伎やナウシカ歌舞伎など、トレンドの作品も積極的に取り入れている歌舞伎。文字通りの伝統芸能でありながら、様々な世代に知ってもらおうと果敢にチャレンジしていくその精神は脱帽の一言。
歌舞伎座などの伝統的な舞台で上演するクラシックな歌舞伎ももちろん最高なのですが、歌舞伎に親しみ深くない人も思わず魅せられる最新技術を使用した演出方法は外国上演にはぴったりですよね。
【バレエ】オランダ・国立オペラ&バレエ団「NIGHT FALL」
私は個人的にバレエが大好きなので、プロのバレエダンサーたちが踊っている様を目の前で見てみたい!というある種の夢があります。
そして、この夢を叶えてくれるツールがあるんです。
それがオランダの国立オペラ&バレエ団が当時世界初の試みとして行った、360度のバーチャルリアリティ映像でのバレエ。白鳥の湖とラ・バヤデールをモチーフにしたNight Fallというオリジナル作品が演目です。
VR映像を最大限楽しむため、観客が装着するのがサムスンのウェアラブルヘッドセット。このヘッドセットを装着すれば夢と現実の間のようなシュールで美しい、まさしく幻想的なバレエ体験をする事ができるんです。
クラシックバレエって、いつの時代も最高峰に美しい人の憧れの世界を投影したもの。その世界観を骨の髄まで味わえ尽くせる、そんなツールが最新技術によって既に存在していたなんて感動。そしてこの先もっとすごいことになっていくのだとドキドキします。
格式を重んじる伝統芸術は常に進化を遂げてきた
伝統的な舞台芸術全てに共通して言えるのは“伝統を重んじている”ということ。先人たちの築き上げてきた哲学を守り続けながら、今も尚多くの人々を魅了しています。
しかも、今なお続いている伝統芸術は伝統に取り憑かれるのではなく、時代時代に合わせて進化を重ねているのです。例えばオペラは常に新たな仕掛けを舞台に施し、審美眼の優れた観客たちをあっと驚かせてきました。最新技術のように思える歌舞伎の「早替り」や「宙乗り」などの演出だって、江戸時代には既に行われていたんです。びっくりするでしょう?
一見保守的に見える伝統芸術。でも、実際はいつだって変化を遂げてきた。だからこそ、圧倒的な存在感で今に残っているんですね。だからこそ最新テクノロジーも導入して新しい芸術を生み出している。
最新技術はものすごい勢いで進化中です。今でさえこんな技術が芸術に使用されているのだから、近い将来どうなっちゃうことなのだろう…。夢は益々広がりますね。ではまた。