イベントコンセプトと会場作りはブランドのポップアップに学べ。
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みなさん、こんにちは。GPの宮永です。
イベントを開催する上で絶対手を抜けないのが会場作り。テーマに沿った世界観にどこまで浸ってもらえるかは、会場作りが全てをキメる!と言っても過言ではありません。
そこで今回は、ブランドによって手がけられた“世界観が上手に反映されたポップアップストア”の事例をご紹介していきたいと思います。
世界観を表現するプロといえばやっぱりブランド。
フードにファッション雑貨にインテリア。当たり前のことですが、全てのシーンに存在するブランドという概念。もちろんどのプロダクトも誰かの為に作られたものですから、言ってしまえば“ただ使えれば良い!”んです。
でもやっぱり、作り手の考えや哲学、バックグラウンドのストーリーに魅せられて、私たち消費者は物をチョイスしますよね。だから、自分たちの持つ世界観をどう消費者に伝えるか、どう表現するかが各ブランドの勝負所になるわけです。つまり彼らはブランディングのプロフェショナル(もちろん)!そして、そんな彼らが打ち出すイベントやポップアップストアなどのプロジェクトには、彼らの世界観が完璧な形で詰まっています。
ということで、早速超ナイスなブランドのポップアップ事例を用意しましたので一緒にチェックしていきましょう!
個性炸裂。ストーリーが軸となるブランドポップアップ事例。
カルティエの期間限定コンビニ
さてまずはこちらの超高級ブランドから。
2018年の9月に東京表参道に登場したのは、なんとカルティエが手がけたコンビニ。テーマは“”when the ordinary becomes precious ”。
カルティエというと、釘をモチーフにしたバングル「ジュスト アン クル」がアイコニックなアイテムとして有名ですね。
日常生活の何気ない釘をもプレシャスなジュエリーへ昇格させてしまうカルティエですから、私たちの生活に欠かせないコンビニを独自目線で昇華。そしてできたのがその名も「カルチエ」だったのです!
このポップアップストアは、「ジュスト アン クル」の新作お披露目コンテンツとして登場しました。
“ジュスト アン クル”が生まれた70年代 ニューヨークは、クリエイティブブームが到来し、時代の寵児たちが伝説のディスコ「スタジオ54」に集まってくる、そんな時代だったのです。日本もバブル真っ只中。そんな中生まれたのがこの「カルチエ」のロゴだったのだとか。
そんな素敵な時代にオマージュを込めて「ジュスト アン クル」の新作をリリースし、さらにはその精神を映し出したコンビニを新作お披露目の場にしたのです。うーん、なんてプレシャスなストーリー。グッときちゃいますね。
さて、中はというと1階部分にはフードや日常品がずらり。しかし流石のカルティエ。もちろんプロダクトを作り出しているのは有名シェフやパティシエなどが、「カルチエ」のためだけに特別に手掛けたプレシャスなコンビニアイテム。
赤坂の有名店「TAKAZAWA」の手掛けた新感覚コロッケや、白金台の「Tirpse」の元シェフによるエナジーバー、他にも予約の取れない有名店「kabi」と「sanmi」が開発した限定のカップラーメンなどなど。
さらにこのポップアップストアのためだけに作られた豪華キャストの揃うスペシャルマガジンや、、「ジュスト アン クル」が招待状になったパーティを開催したりとお祭り騒ぎ。
カルティエの世界観が存分に発揮された未だ嘗てなかったラグジュアリーなコンビニ。レジェンダリーブランドは常に革新的なんですね。そんなブランド哲学の詰まったこのポップアップストアは、カルティエの古株ファンから新規さんまで、多くの人々の心をグッと掴んだのです。
「母の日」にシャネルが用意したフラワーショップ
お次はモードの女王シャネルから。ロンドンのコベントガーデンに登場したのは、シャネルの看板があしらわれたお花屋さんでした。
こちらは、「母の日」にちなんだアウトドアプロモーション。日本で母の日といえばもっぱらカーネーション。しかしイギリスでは香水とお花が定番ギフトなのだとか。ということでシャネルは考えました。「どうせなら両方プレゼントしてもらっちゃおう」と。
こちらのアウトドアプロモーションは、お花が生花ということもあり3日間の限定展開。
取り扱うのはバラやジャスミン、アヤメなど。というのも、それぞれのお花の香りはシャネルの代表的な香水である「ナンバー19」や「ナンバー5」などに使用される代表的な香りを象徴しているのです。そしてこの美しい花々と一緒に並べられているのはもちろんシャネルの香水。お客さんがシャネルの香水を購入すると、なんと無料でこの美しく包まれた花束をプレゼントするというなんともエクスクルーシブなポップアップストア。
香水という本テーマがあるからこそ、母の日×花という別切り口で香水をアプローチする。この頭の展開、流石ですよね。何よりエレガントってところが、さっすがシャネル。
イベントでこんな頭のキレた切り口が用意されてたら、びっくりしませんか?
ノースフェイスの新作が欲しいならミッションをクリアせよ。
アウトドアブランドと言われていくつかパッと思いつく中に必ず入ってくるノースフェイス。機能性抜群、でもアーバンなムードのプロダクトは場所を選ばずに着用できるということで、世界中で絶対的な人気を誇っています。
そんなノースフェイスがかなりお茶目なポップアップストアを韓国にオープン。
そんなに広くない店内。お店に並ぶのは新作のジャケットでしょうか?お客さんが気に入った商品を手にしようとしたその瞬間、スタッフが駆け足でお店の外へ。そしてスイッチオン。
大きな機械音とともに店内が思いっきり動き出しました。床がスライドし足場がどんどん消えて行きます。さて、どうするか。壁に目をやるとそこにはボルダリング用の突起が。これはもう登るしかない…。
とりあえずカラフルな突起物にしがみつき安心したのもつかの間、天井から新作がぐんぐん降りてきます。反対側の壁に映し出されているのは「ジャンプしてダウンジャケットを手に入れてください!」という文字。時間は30秒…って制限時間付きかよ!
カウントダウンとともにジャケットに手をのばそうと下を見ると、うわっ。意外と高さあるのね…。ここで恐怖に負けず腹を括ってジャケットをゲットできた人はなんとお持ち帰りすることができちゃう。なんだかよくわからないけど、まあハッピーエンド!
このポップアップストアのバックグラウンドにあるのは、「外に出てドキドキしようよ!」というメッセージ。普段生活している中では、ハラハラとかドキドキすることってあまりないじゃないですか。だから、もっと自分の知らない世界に出て、冒険をしよう。その時にはノースフェイスのプロダクトがあなたの冒険をサポートします。そんなアウトドアブランドならではの楽しいメッセージ。伝えたいことを空間でダイレクトに表現している素晴らしい事例でした。
ネスカフェで睡眠をとってちょっと休憩
ポップアップではないですが、こちらもコンセプトが面白いのでご紹介。
日本の大人たち、働いてますよね〜。大きな声で言いたい。ご苦労様ですと!しかし、みなさんちゃんと睡眠取れてますか?この日本人の睡眠不足は大きな社会問題の1つとして挙げられます。そんな中、この睡眠不足を解決すべくある企業が立ち上がり、睡眠カフェなるお店をリリース。
そのブランドとはそう、あの「ネスレ」!ん…?ネスレってあのコーヒーの?コーヒーと睡眠って対極にあるんじゃ。そう思った方、分かります。私もそう思いました。しかしこれ、かなりメイクセンスなんですね。
ここは短い昼寝の前にカフェインを含むコーヒーを飲むことで、ちょうど起きた頃にシャキッとし、その後のパフォーマンスに役立つと言われている「コーヒーナップ」ができるカフェなんです。
こちらで提供される睡眠にまつわるコースは、科学の側面から専門家の知見を通して監修されている本格的なもの。
仮眠室の壁面には窓枠のようなスクリーンが設置されており、カフェインを含むコーヒーを飲みながらスクリーンに映し出される映像を眺めます。入眠前には徐々に暗くなる森林の映像でいつの間にか眠気がMAX。仕事したくないなあ〜なんて思いながら、心地よい眠気に誘われて…(入眠!)。はっと起床すると室内は青白い月明かりの映像が流れるとともに、レザーリクライニングチェアに座っている自身のカラダにも映像が投影され、昼寝後の眠気の軽減をアシスト。
仕事のパフォーマンスに睡眠ってとっても大事。ナポレオンもエジソンもお昼寝してたって言いますし、できる大人はシエスタですよ。
社会問題とコーヒーの関係性を上手に突いた企画だからこそ、未だに多くの人が通うこの睡眠カフェ。ブランドの持つ世界観と伝えたいメッセージ、そして非日常感がうまく紐ずいた結果です。
トミーヒルフィガージーンズから街中ライブのプレゼント
去年の秋、キャットストリートにトミーヒルフィガージーンズの新しい店舗がオープンしました。それを記念して彼らが企画したのはなんと渋谷の街中を走るトップアーティストによる街中ライブ。
会場はスペシャルなシャトルバス。トミージーンズ はいつの時代もユースの心を掴み常に音楽と関わりながら、ポップカルチャーのパイオニアたちとのコラボレーションを続けてきた歴史をバックグラウンドに抱えています。
そんなトミーヒルフィガージーンズが企画するバスで開催される街中コンサート。しかもアーティストはいまをときめくアップカミングなアーティストたち。いやこれ、結構胸熱なストーリーじゃないですか?
このバスに乗る資格は同店でお買い物した人の中から抽選で選ばれ、アンノーマルなバス内でのコンサート体験ができてしまう。そして同時に、街を歩いている人々も、なんだあれは?って注目してしまいますよね。
ブランドの世界観を伝えると同時にプロモーションもでき、しかもショップのファンにはエクスクルーシブな体験まで与えられるなんとも画期的なアイデアに満ちたこの企画。しかも、開催地がカルチャー発信地の渋谷っていうのもまた素敵。
トミーヒルフィガージーンズを着てたらイケてるのかも!とか、カルチャーに根強いブランドなんだという理解へダイレクトに繋がる。ブランド認知度を上げ、ブランドの伝えたいメッセージを伝え、みんなが楽しくなる。そんな100パーセントなトミーヒルフィガージーンズのポップアップイベントでした。
ブランドの世界観が詰まったポップアップイベントは華やかです。しかし何よりストーリーが面白いんです。
イベント運営においても、そのイベントを企画した会社の歴史や、新商品のコンセプト、伝えたいことなど、革新部分があると思います。それをどう面白く伝えるか、そしていかに楽しんでもらえるかはイベンターの腕の見せ所。
シーンの先端を行くブランドのポップアップからは学ぶことがまだまだありそうですよ。これからもきっちりチェックしていきましょう!