100周年のGucciが仕掛ける、リュクスな体験型エキシビジョン
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こんにちは、GP宮永です。
みなさん『ハイブランド』って言われたらどのメゾンを思い出しますか? 世界広しで様々なブランドがあれど、必ず名前があがるあの高級ブランドといえば「グッチ」ですよね。
そのグッチ、なんと今年でブランド創設100周年を迎えます。ということで、この記念すべき年を祝して京都を舞台に3つのエキシビションからなるスペシャルプロジェクト「Gucci in Kyoto」を開催したのですが、これがもう、まごうことなき優雅さ、リュクスさなんです!
記念すべき100周年にはGucci往年のテーマを
さてさて、まずはプロジェクトの根幹であるテーマからチェックしましょう。伝統と革新のグッチですが、記念すべき100周年のプロジェクトテーマはズバリ“伝統と創造をたたえる”こと。グッチの飽くなきインスピレーション源はいつだって同ブランドの持つ歴史と伝統でした。本ブランドの基盤であるこのポイントに改めて立ち返ること。それが今回行われたブランド100周年エキシビジョンの揺らぐことなきビッグなテーマなんです。
プラスで、グッチのデザイナーであるアレッサンドロ・ミケーレの最新コレクション「Aria(イタリア語で「空気」や「息吹」)」は、新旧の共存、そしてその再生がテーマです。このビジョンと美学を体現するためのエキシビジョンでもあったんですね。
舞台は古都「京都」
グッチが記念すべき100周年を祝う地として選んだのが京都でした。もちろん選ばれるにふさわしい格式高い歴史ある地ですが、実は京都ってブランド発祥の地イタリア・フィレンツェの姉妹都市なんです。加えて伝統と創造をたたえるプロジェクトというテーマからも、京都ほど本プロジェクトにふさわしい場所はありませんよね。
3つのエキシビションからなる本プロジェクトの舞台になったのは、京都の代表的な2つの寺院である清水寺と仁和寺に加え、趣感じる町家です。
いやー、流石。清水寺と仁和寺ってエキシビジョンなんてできるんだぁ……。確かに世界的なラグジュアリーブランドに相応しいです。異議なし。
体験型ってどういうこと?内容をリサーチ
今回グッチは“体験型”のエキシビジョンであるとわざわざ銘打っています。「何がそんなに体験型なの??」と気になる方も多いはず。
ということで、今回のエキシビジョンがどんな内容なのかを、3つのプロジェクトをからしっかりチェックしていきましょう。
清水寺:グッチアリア
京都随一の観光名所清水寺は「古都京都の文化財」として世界文化遺産に登録される、誰もが知る歴史的建造物です。そんな清水寺で7月18日にゲストを迎えて開催されたのが、一夜限りの特別で高級なインスタレーション。グッチの最新コレクションAriaはイタリア語で空気や息吹を意味します。グッチというブランドの生命が、光と自然の息吹の中で再生されるという新コレクションのストーリーを悠久の歴史を内包する清水寺にて表現したんですね。
この表現の仕方がまたすごい。清水寺がコレクション内で登場した架空のナイトクラブ「SAVOY CLUB」を想起させるピンクとパープルのネオンで彩られ、まるでSF映画のよう! こんな清水寺、後にも先にも今回だけでしょう!
回廊・本堂・経堂まで、最新コレクションの展示が散りばめられています。プロジェクションマッピングで投影された深い森のイメージも荘厳な堂内を真新しいものに。普段とは全然違ったコレクションの見せ方に、来場者は心の底から圧倒され感動することでしょう。
仁和寺:ジュエリーとファインウォッチのお披露目
888年に建立し、1994年に世界遺産に登録された仁和寺にてお披露目されたのは、ラテン語で「歓喜の庭」を意味するハイジュエリー コレクション「ホルトゥス デリキアルム」とファインウォッチの新作でした。
今回の新作は刻一刻と移り変わる空の色と夜空にきらめく星々の美しさが込められているそうです。
旧川崎家住宅:グッチバンブーハウス
グッチ創設時期である1920年代に豪商の邸宅として建てられた新町通沿いの旧川崎家住宅で行われたのが「グッチ バンブーハウス」。コレクションの「Aria」に込められた「生命の再生」という意味合いと、京町家と西洋の建築様式が匠の技術により融合した、和洋折衷な有形文化財の邸宅が見事にマッチ。
バンブーハウスのメインコンテンツとして登場するのは、1947年に誕生したグッチのアイコンバッグであるバンブーハンドルのバッグです。戦後の物資不足の中でも職人の技術と執念により誕生したバンブーハンドルはグッチのクラフトマンシップを語る上で欠かせないアイテムの1つ。エキシビジョンでは50年代から90年代まで、14点のアーカイブが並びます。
この美品を拝めるのは勿論のこと、何と言っても空間自体が素晴らしい。なんというか、プロダクトに詰め込みたかったであろう哲学をこの世界観が補っているんですね。客間や回廊など、世界的に高い評価を得ているアーティストである四代目の田辺竹雲斎氏の作品を一つ一つ見て回ると、ブランドの伝えたいことが不思議とストーリーになって体に染み渡ってくる。これまでなかったエキシビジョンの本質的な体験ができる、革新的な空間なのです。
邸宅内にはフィレンツェにあるグッチ ガーデン ブックストアのラインナップを参照してキュレーションした書籍や、Aria コレクションにまつわるショートムービーを上映するシネマルームなどなど見所が多数。
ファッションシーンも体験型が進む
昔に比べ、気軽にハイブランドを購入する人が減ってきたファッションシーン。その背景には不景気の他にも、プロダクトを作る際の技術の向上により、トレンドを掴んだ上にハイクオリティなものをリーズナブルなブランドでも作ることができるようになったことが挙げられます。その結果、どこのハイブランドも匠の技術を駆使した上質なプロダクトだけで勝負するのは難しくなっているのです。だからこそ、今彼らが勝負するところは歴史と革新あるブランドストーリーなのではないでしょうか。
新たな命を得て再生する様や心臓の鼓動を表した舞、改修工事がつい昨年終了し、生まれ変わったばかりの清水寺の舞台で披露された日本の伝統芸能。これらの各パフォーマンスを通じてグッチが伝えたかったのは、来客者が空気感や歴史含め体感するブランドの物語だったんです。
これまでもメゾンのエキシビジョンといえば、「憧れの庭園」や「ブランドのイメージがぴったりな花畑」、「美しい城」や「スタイリッシュなミュージアム」といったユニークベニューがありました。しかし、今回グッチが最初に選んだのが『ブランドとの親和性』。何よりもストーリーを優先したのです。
ファッションシーンもプロダクトだけで見せる時代はもう終わり。参加者の体験としてブランドの思想を表現する新しい時代のに突入したんだなあと感じます。本エキシビジョンを皮切りに、今後は『どうすればブランド哲学を消費者と共感出来るか』にフォーカスを当てた、体験型のエキシビジョンが盛んになっていくのではないでしょうか。ではまた!