イカゲームが世界的ヒットした理由と日本のデスゲームが世界的ヒットしない理由
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みなさんこんにちは!GPの宮永です。
2021年もそろそろ終わり。今年のトレンドと言ったら多々ありますが絶対に外せないのがNetflixシリーズの『イカゲーム』でしょうね。世界中の人々が熱狂し、リリースからだいぶ経っても未だランク入りするなどその人気は覚めやらずってところです。
一方バトルロワイヤルをスタートに長くに渡りデスゲームものを生み出し続けた我らが日本の漫画カルチャー。『神様のいう通り』や『カイジ』など、読み出したら止まらない作品を多く輩出してきました。
Netflixでもデスゲームコミック『今際の国のアリス』が実写化に。しかし『イカゲーム』の様な世界的ヒットにはならなかったのが実情。いや、面白いですよ『今際の国のアリス』ってめちゃくちゃ。でもなんで『今際の国のアリス』はそこそこの話題で落ち着き、『イカゲーム』は記録的大ヒットしたの?めっちゃ気になりません?
ということで今回は「日本産デスゲームはなんで流行らないの?」を解説します!
イカゲームを皮切りにデスゲームが脚光を浴びる
さて、米ブルームバーグの記事によると「イカゲーム」が9億ドル(約1030億円)の価値を生み出すと見積もられていると報じたらしい。さらにはNetflixの7月から9月にかけての会員数の伸びは市場予想を超えて今年最大を記録したのだとか。もちろんこの要因は『イカゲーム』の大流行によるもの。それもそのはず、『イカゲーム』は1億4200万世帯(更新中)が視聴しNetflix市場1番視聴されたドラマシリーズなのです。
『イカゲーム』の内容は多額の借金を抱えた人々が賞金をかけて命を賭けた危険なゲームに挑戦するという所謂デスゲーム。
本ドラマシリーズの登場をきっかけにデスゲームというジャンルが一躍脚光を浴びるようになった訳ですが、これもまた中々センセーショナル。なぜかというと、デスゲームってなんか痛々しいし血とか出るしエグいし…。つまりは老若男女、一般的に受け入れられるジャンルではないって思い込んでいたんですけど…まさかの…!って感じな訳です。個人的には。
この空前のブームは、Netflix史上最大のヒットというところからも分かるし、Instagramやtiktokのリールなどでも本ドラマの所謂“ネタ”が多数取り上げられていることからも分かります。
日本のデスゲームになくて『イカゲーム』にあったもの
ではここで本日の最大の疑問を問いかけます。イカゲームがこんなに万人に受け入れられるのならなんで日本産のデスゲームはヒットしないの?!なんです。
だってだって!日本ってデスゲームジャンルの名作めっちゃあるじゃないですか!『カイジ』や『神様の言う通り』『今際の国のアリス』もそうだし『ガンツ』もだし。。。デスゲームジャンルは日本が本場と言われているようで、どうやらネット上では、また日本のお家芸が韓国に持ってかれたとざわついているらしい。ざわつきたくもなるわ!
イカゲームがヒットした要因
デスゲームは90年代後半から流行り始めたジャンルで、この流れを牽引したのが『CUBE』と『バトルロワイヤル』と言われています。
デスゲームジャンルの長い歴史がある中で確立されてきたストーリーの内容とイカゲームがそれほどまでに差があるかって言われると正直ない。目新しいストーリー展開にはなってないんです。何か事情のある人々が命を賭けた理不尽なゲームに参加する。一緒です。でもじゃあなんでこんなにまで世界中の人々に受け入れられたの?
視覚的に気になる要素(ポップさ)
『イカゲーム』がヒットした背景としてまず挙げられるのが「見てみたいな」とか「気になるな」と思わせる視覚的なポップさでしょう。このポップさが反映されているのが映像美と名前。
ファンタジーの世界観のような淡くカラフルなパステルカラーで彩られた世界観にアイコニックな不思議な人形。可愛さと不気味さがあいまったアイコニックなビジュアルは、初見で視聴者を惹きつけ気になるリストへの追加を促したのです。
これに重ね『イカゲーム』という不思議な名前。これは英語名でスクイッドゲーム。つまりはどこの国でも“イカゲーム”なんです。変だけど覚えやすくて気になるタイトル。そうして広く認知されていったのです。
誰もが共感するもの。リアルな世界
これまでデスゲームというと不謹慎な要素こそが最大の魅力として、日常とは違う異空間でゲームが行われるという展開が定着していました。そうしないと死に方があまりに酷かったり逆にリアリティさがなくなってしまうからです。
しかし今回の『イカゲーム』はこの現実世界とデスゲームをかなり親密に結びつけていた。ここがヒットを記録する大きなポイントとなったのでしょう。登場人物たちはそれぞれに複雑な事情を抱えていますがこれは現代社会が生み出した社会構造の歪みから。多かれ少なかれ世界中が不況の今、何かしら見ている人々の心に深く刺さったはず。
一方日本のデスゲームは原作が漫画のことから学生が主役のことが多い。となると登場人物は何も知らない普通の高校生とかになってくるんですね。そうなるとピュアな学生がいきなり理不尽なデスゲームに巻き込まれ…という設定になることが多く、見ている側との共通点が少なくなっていくんです。プラス、日本の学生との共通項なんて世界的に見るとあまりあるわけもなく、あまり共感はできない。そして大きなヒットには中々繋がらない。
『イカゲーム』は世界中の人々が共感できるポイントというものをしっかりと用意し、ゲーム内容はシンプルにしてストーリーにしっかりと焦点を当てて物語を作っていった。ここが本来の詩が軽んじられる複雑なゲーム構成を主流としたデスゲームものとの大きな違いになってきます。
韓国特有のドメスティックな要素
世界的ヒットを飛ばすに当たって必要になってくるのはその国特有のドメスティックな要素です。登場人物たちが抱えるバックグラウンドにあるのは現在の韓国の社会情勢を反映させた韓国固有のディープな社会問題ばかりでした(アカデミー賞を受賞した映画パラサイトもそうでしたね)。
また、作品内で展開されるゲームも韓国で遊ばれていた古い遊びです。これが世界の人々が見たときに相当面白かったようで、イカゲームに登場する遊びが学校でブームになったりしたんだとか。
日本に足りないもの=海外を見据えた戦略?
日本のはマーケットにはおよそ1億人いると言われています。これってものすごく大きなマーケットですよね。
一方韓国は国土も人口も日本より小さいため、K-popやK-ドラマなどのエンターテイメントをより外へと発信しています。そしてこの発信が今や大きなトレンドとなりK-カルチャーは世界中で爆発的なヒットを飛ばしまくっていますよね。
つまり、何かを作るとき最初からグローバルなマーケットを視野に入れてクリエイトしているんです。これが日本との大きな違い。
日本は国内マーケットが大きいため、日本人受けの良いものを作り続ける。これも悪くはないかもしれませんが、日本って原作良いもの多いじゃないですか。だからその原作を持って、クリエイションをグローバルレベルまで引き上げて本気で作ったならどんなにすごいことになるか…ってちょっと残念な気持ちあり。せっかくだから世界を視野に物作りをして欲しいなあと思うわけです。
時代はグローバルなのですから。