オランダ発、ローズガールデのソーシャルグッドなエンタテイメント
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みなさんこんにちは!
GPの宮永です。
近年世の中はソーシャルグッドな方向へ、サステナブルな方向へと舵を切り始めました。それは我々のいるエンタメシーンも同じです。でも“エンタメ”と“ソーシャルグッド”ってなんか程遠い話なようにも聞こえがち。そんな考えを払拭してくれるクリエイティブスタジオがオランダにありました。
今日は世界的にも注目を集める「スタジオ ローズガルデ」についてご紹介します。
世界を驚かせた次世代花火・SPARK
スタジオ ローズガールデについて説明する上で、まず見ていただきたい映像がこちらです。
この美しい映像は何かというと、スタジオ ローズガールデによる次世代の“オーガニック”な花火。蛍からインスパイアされた繊細な輝きを放つSPARKは、生物分解性の素材を用いた無数の発光体を散布するインスタレーション……要するに火薬を使わない花火です。
人々を包む光の粒で溢れかえる空間は美しく幻想的。トラディショナルな花火はもちろん美しく迫力あるものですが、こちらのSPARKはそれとはまた一味違ったファンタジー要素をプラスした圧倒的な美しさを備えます。
空中浮遊するドローンや壁に映像を投影するプロジェクションマッピングと比べると、デジタルっぽさがあまりない柔らかな美しさを演出するのが特徴です。
この花火は生物分解性なので、環境や建築に左右されず散布できるのが最大の魅力。近年花火は環境的な側面から問題視されています。美しくソーシャルグッドなSPARKは、今後多方面において活躍する事間違いなしと言われており、今世界中から注目が集まっています。
スタジオ ローズガールデとは
さて、このSPARKを作ったのはオランダ・ロッテルダムに拠点を置くソーシャルデザインラボのスタジオ ローズガールデ。このスタジオを率いるのが数多くの多様なインスタレーションをプロデュースをするダーン・ローズガールデさん。
彼の「交通渋滞」「大気汚染」「海面の水位上昇」「CO2排出量増加」などへの怒りや落胆をインスピレーションのもとにして新たなソリューションを巻き起こすスタジオ ローズガールデはこれまでに様々な取り組みを行ってきました。ではどんな取り組みを行ってきたのか?こちらについて、少しだけご紹介していきましょう。
Smog Free Project
こちらは大都市のスモッグに対するイラつきや疑問、怒りから誕生したプロジェクト「Smog Free Project」。中国をはじめ、お次に韓国、オランダ、ポーランドにの都市にスモッグフリータワーを建てて、そこで集まったスモッグを固め、なんと黒い指輪にしてしまいました。
このタワーは言うなれば巨大な空気清浄機。イオンテクノロジーを駆使した、ほぼ風を動力として作動する装置から生み出されます。オゾンを使わずに1時間あたり3万立方メートルの周辺大気をクリーンにする、つまりその際に使用する電流の量は1170ワットほど。お湯を沸かすのと一緒なんですって、信じられます?
このプロジェクトに共感した若者たちがこの指輪を婚約指輪にするなんて社会現象も当時起きていたんですって。(現在は販売されていません)
Waterlicht
彼らのベースとなるオランダという国、実は埋め立てによって国土を拡張してきたという歴史をご存知でしょうか。そのため、オランダは国土の大半が海抜以下。時代時代の最先端技術を使って国の水位を制御してきました。
スタジオ ローズガールデが手がけた巡回展「Waterlicht」は、水の詩と力を示したインスタレーションです。環境への配慮が消え、テクノロジーへの努力をやめた時、洪水による水位がどれほど高くなるかを光の波で演出。
美しく壮大なインスタレーションに人々は感激するとともに圧倒され、そして脅威を感じます。日々の環境へのケアがどれほどまでに重要なのか。この大切なことに改めて気がつくインスタレーション。
SDGs最先端のオランダのバックグラウンドにはこういった地理的理由もあるのかもしれません。一方“災害大国の日本はなんで…?”って思っちゃいますけどね…。
Space Waste Lab
持続可能な世界を目指す彼らですが、その取り組みは地球だけにとどまりません。なんと宇宙ごみに関する大規模なプロジェクトまで行っていました。その名も「Space Waste Lab」です。
地球の周りって、10cm以上の大きさの物体が29000個以上も浮遊してるんですって。しかもこれらの宇宙ゴミって、実は壊れたロケットや衛星の一部と言われていて、つまり地球から排出されたもの。これが現在稼働中の人工衛星に損傷を与え、そこから更に宇宙ゴミが発生。これによりデジタル通信が妨げられる恐れもあるのだとか。
これに対しフラストレーションを覚えた彼らが立ち上げたのがこの「Space Waste Lab」だったんですね。このプロジェクトには欧州宇宙機関や学生、招聘者、Studio Roosegaardeチームなど、宇宙の専門家が参加。このラボの存在を知らしめるために行われたインスタレーションが「SPACE WASTE LAB PERFORMANCE」でした。これは、私たちの頭上にある宇宙ゴミをリアルタイムで視覚化するといった壮大なもの。
更にその後は宇宙ゴミを回収して持続可能な製品にアップサイクルへとシフトチェンジ。こちらは複数年に渡る時間をかけたプロジェクトとなります。
GROW
昨年行われたのは、農業がもつ美しさにオマージュをささげる作品「GROW」。広大な夜の畑に赤と青の美しい光を浮かび上がらせる壮大にして感動的なインスタレーションです。私たちにとって「食」とはなくてはならないものです。この「食」にフォーカスが当たることはしばしばありますが、それを支える土壌に着目することってなかなかありませんよね。この農業システムにおけるイノベーションの重要性を強調したのがこのインスタレーションでした。
20,000平方メートルのネギ畑を照らし出すデザインは揺れ動き、まるで自然が生命リズムに乗って踊っているかのよう。このインスタレーションはさすがスタジオ ローズガールデ、気づきを与えるだけの美しいばかりのものではありません。青・赤・紫外線を一定の割合で当てることで植物の成長が促進、農薬の使用を最大50%も削減できる光生物学の科学的な技術なのだそうです。もはやあっぱれすぎる。本当にかっこいい。
ヨーロッパはイベントごともソーシャルグッドな方向性へ
いかがだったでしょうか。今の時代に何が必要なのか、私たちは何をしなければいけないのか。持続可能な世界を作るために、今私たちは大きな選択を迫られています。資本主義を優先させ“今”の豊かさを求めるか、それとも次の世代のために持続可能な“未来”を作るか。これはSDGsと信憑性のある業界だけの問題ではなく、イベントシーンも同じなのです。
今ヨーロッパを中心に、ソーシャルグッドなイベント運営の仕方が増えています。日本にいる私たちも新たなイノベーションを取り入れなければいけない時が来たのでは?少しづつでも出来ることをはじめよう。我々もそういった姿勢をいち早く提示していければと思っています。
いずれにせよ、めちゃくちゃかっこいい「スタジオ ローズガールデ」。今後も彼らの活動から目が離せません。それではまた!