150年前へタイムスリップ!東京ドームホテルの幕末フレンチ。
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こんにちは!GPの宮永です。
人間って、脳と鼻と口が他の動物に比べて近くにあるんですって。
つまり、味覚と嗅覚が脳と近い位置にあるからこそ、人類の文化は食と共に発展したと。歴史ものの映画とか見ていると、美味しそうだな〜って思うお食事がいっぱい出てきますよね。まあフィクションだからな……と思う一方、文献や歴史資料を見ると今の私たちでもお腹が鳴るようなグルメなフードが乗っていることもしばしば。
昔の人ってどんなもの食べていたんだろう?って、誰もが一度は思ったことあるんじゃないでしょうか。今回はそんな疑問に答えてくれる、昨年10月にとあるホテルで行われたディナーコースにフォーカスします。
東京ドームホテル『幕末維新の食卓外交コース~グルメな将軍の本格フレンチ戦略~』とは?
舞台は後楽園の東京ドームシティに位置する東京ドームホテル内のダイニング「ドゥ ミル」。都心部にある最大級のエンターテイメント施設内のホテルで特別に提供されていたのは、インテリジェンスでエンターテイメントなフレンチコース。題して『幕末維新の食卓外交コース~グルメな将軍の本格フレンチ戦略~』。
名前を聞いたら掴みはオッケーなポップなフレンチコース?気軽に伺える感じかな?と思いきや、お値段1人1万3,000円。価格帯からPR目的の気軽なイベントというよりも、ホテルの提供する本気のフレンチコースであることが伺えます。
黄綬褒章受賞の名誉総料理長が提供するコース内容は?
手掛けるのは名誉総料理長の鎌田昭男さん。なんと彼は昨年の秋にフランス料理において日本国内の食文化の発展に多大なる貢献をしたとして「黄綬褒章」を受賞したプロの中のプロ。日本のフレンチ史上初めて「ポワソン・クリュ(生魚)」をメニューに打ち出したすごい人なんです。
そんな彼が提案したのは、味覚もしかり、好奇心まで刺激してくれる濃厚なストーリーのフレンチコース『幕末維新の食卓外交コース~グルメな将軍の本格フレンチ戦略~』。
メニュー内容はこんな感じ。
【メニュー】
◇ジャンボンブランとトリュフのシュルプリーズ
◇野菜とクネル・海老入りチキンコンソメスープ 公使風
◇マッシュルームのパリジャンソース和えクルート
◇ホワイトアスパラガスと本日の魚のシャンパンヴィネガー風味ソース キャビア添え
◇牛フィレ肉のステーキ メートル・ド・テルバター
◇メレンゲ入りシャンティイーグラッセ フルーツ添え
◇コーヒーまたは紅茶
◇五色豆
当時のフランス料理の特徴を再現しながら、現代の人々に合う味に調整し、20皿の中から厳選した7皿のフルコースに仕上げています。
小石川後楽園一帯のストーリーをスパイスに
『幕末維新の食卓外交コース~グルメな将軍の本格フレンチ戦略~』の参考になったのは「幕末維新外交史料集成」という史料に残されている饗応の際のメニューだそうです。
幕末の史料をベースにフレンチコースやっちゃうって発想がそもそも面白いんですけど、さらにインテリジェンスを感じるのはこの企画を『東京ドームホテルで開催した』理由、東京ドームホテルのバックグラウンドのストーリーです。
徳川幕府最後の将軍である徳川慶喜は、1867年にイギリス、オランダ、フランス、アメリカの4か国の公使たちを大阪城に招き、外交晩餐会を開きます。その時に用意したのは和食ではなくフランス料理。
それまでは和食でのおもてなしがスタンダードだったのですが、公使たちの琴線に触れるものにしようとおもてなしの西洋化を図ったんですね。こうして日本は文明を開花させていったのです。
そんな徳川慶喜が生まれたのは東京ドームホテルを含む、小石川後楽園一帯でした。
第15代将軍に就任し、慶応3年に大政を奉還、江戸城開城後水戸にて謹慎した後、駿府に隠棲するのですが、1897年……明治30年になると小石川後楽園に再び戻てきました。そしてこの地で没したのです。
そんなストーリーを胸に秘め彼の地で頂く絶品フレンチコース。お味も歴史も濃厚な上この上ないと思いませんか?
好奇心を刺激するからエンタメなんだ。
とにかく美味しくて、お腹が満たされてこ良い気持ちになる。これが食の醍醐味だと思います。ですが私はエンタメ界隈の人間の性か、ここにプラスアルファされる何かがあると本当の意味で身体も心も満たされるんです。そういった意味でこの『幕末維新の食卓外交コース~グルメな将軍の本格フレンチ戦略~』は、これまでありそうで無かった種類の食のエンターテイメントだったと思うんですよね。
漫画や映画の世界観を反映させたフードイベントとかは今までにもありました。しかしここまで本格的で上質で、歴史に忠実な上、今いる場所や私たちのアイデンティティに想いを馳せることの出来る食のイベントってあったでしょうか?
これこそ世界観にどっぷりと浸かり込めるインテリジェンスな至極の体験型エンタテイメント。ここで重要なのはクリエイターの哲学、高度なクリエイション、バックグラウンドのストーリー、なぜ今これをやるのかの理由など、その全ての軸がイコールでメインテーマになることだと個人的には思います。それはイベントにせよ何にせよ、何かを作り上げる上で全てにおいて大切なこと。
エンタメってなんだろう。それは好奇心を刺激してくれることだと思うんです。そして自分の中で新しい世界の扉を開いてくれること。幕末フレンチ。素晴らしいお仕事です!