バーチャル長屋って知ってる?築90年超の長屋×バーチャルの実証実験。
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皆さんこんにちは!GPの宮永です。
AR、バーチャル、メタバースetc……。SF世界が目前まで迫っているここ最近、またもや面白いニュースを発見しました。その名も「バーチャル長屋」。
渋〜い長屋とバーチャルの世界がミクシングするこの奇跡、一体何がおきているのでしょう。ということで、今回のテーマは北品川にある築90年以上を誇る長屋と最先端のデジタル技術が融合した「XR HOUSE 北品川長屋1930」についてです!
XR HOUSE 北品川長屋1930って?
まずは「XR HOUSE 北品川長屋1930」の概要から。サクッと説明してしまうと、『北品川にある築90年を誇る長屋の一棟に最先端のデジタル技術を投入し、改装させる」という大規模なプロジェクト実験なんです。この最先端技術は“XR技術”のこと。XR技術とは拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、複合現実(MR)全て含まれる、現実と仮想を照らし合わせる表現技術の総称です。
この長屋でどんな新しい体験ができるのかというと……「家に人格があるような体験」。人の動きに合わせて家が音と光で反応する、まるで家そのものが人格を持って接してくるような、そんな体験とのこと。建物とデジタルを組み合わせることによって、私たちが暮らす家の中に非現実なバーチャルを組み込ませていく、それが「XR HOUSE 北品川長屋1930」というプロジェクトなんです。ね、面白いでしょ?
大手3社による大型共同プロジェクト
こちらのプロジェクトは「大和ハウス工業」と「バンダイナムコ研究所」と「ノイズ」の3社による共同事業。各フロアの企画構成や建物についての知見提供を大和ハウス工業、デジタル技術の企画については、玄関からのアプローチと1階をnoiz、2階をバンダイナムコ研究所が担当しているそうです。参画している会社名だけでも大型の挑戦なのが分かりますよね。
実証実験で見ていたものとは?
さて、最初にこのプロジェクトは『実証実験』と紹介しました。『実験』と言われたら当然『何について検証しているのか』が気になりますよね。
建物の価値には法律上の価値(土地の価値)、金融上の価値(担保価値)、不動産取引上の価値(商品価値)、利用上の価値(住まい価値)等があります。そしてこれらの価値は新築時から右肩下がりで落ちていく、というイメージがあります。ここが今回の実証実験のポイント。
今回の検証では、建設してから数十年が経過した建物に、デジタル技術とエンターテインメント技術を盛り込むことによって、利用者が「住まい価値(利用上の価値)」について体験を通してどのように感じるかを検証していたんですって。「住まい価値」という概念が新しいですよね!
バーチャル長屋の内容は?何が新しいの?
さて、ここから先はこのバーチャル長屋の内容がどのようになっているのかをご紹介。ちなみにこちらの長屋、一般公開はしていません。
「SHINAGAWA 1930」
場所は「SHINAGAWA 1930」。品川に古い歴史を持つ建築物があまり見当たらないのは第二次大戦の空爆があったからだと言われています。この長屋「SHINAGAWA 1930」は、奇跡的に空襲を免れた5棟が連なる古民家群を京急グループのRバンク主体で複合施設として再生させたものです。2020年のオープン以来、文化的な施設として人気を集め、いくつかのショップも入っている歴史とトレンドが合わさる素敵な場所です。本プロジェクトはそんな「SHINAGAWA 1930」のうち一棟を検証実験施設として改装し行われていました。
1階:家と人とがコミュニケーションを取り合う空間
1階に足を踏み入れると、人の動きに対して家が音と光で反応する不思議な空間が。Gセンサーが組み込まれた吊るし電球に触るとその周囲になる家具の図柄が動いたり変化したりします。これだけ聞くとちょっとした演出のようですが、何が凄いかって、人間がスイッチを入れるのではなく、“今誰がどこにいる”っていう人の位置情報を家が把握していること。
具体的には、腰をかけた辺りの図柄が複数のプロジェクターによって変化するそう。これまでの「家という空間に人が住む」という至極当たり前の考え方から、家と人とがコミュニケーションを取り合う、“家がまるで人格を持ったかのような動きをする”、そんな設計がこの実験では成されているんですね。
2階:日常とバーチャルの垣根を低くするインターフェース
2階は「日常」の空間にデジタルを取り込んだリアル世界とバーチャル世界の共生を目指した空間です。エンタメ界隈をVRやARなどのバーチャル勢が席巻する中、リアルの世界でのバーチャル体験も必須になる未来はすぐそこですよね。
そんな思想を念頭に作られたこちらの2階では、日常とバーチャルの垣根を低くするインターフェースに着目。和室にある「襖」「障子」「畳」に、ゲームや遊びとは異なる日常生活に浸透するデジタル表現をプラスしています。
例えば、奥にある障子を開けるとバーチャル世界を「日常」から覗いているかのようなモノクロの屋外空間が登場。
立体音響の効果により、障子の奥に外とつながっているような開放感のある空間が楽しめます。さらには閉ざされた空間を創り出す「襖」を開けると屋内空間が広がります。
障子の空間と同様、高音質の環境音と相まった落ち着いた時間を過ごせる新しい体験。また、noizがデザインを手掛ける「ボロノイ畳」にLED技術を組み込むことで、コンテンツに沿った自由度の高い演出も可能とのこと。
本プロジェクトの背景にあったのは“時代感”
これまでにはない新しいアプローチの本実証実験ですが、開発の背景には今ならではの理由がありました。そう、“コロナ禍”です。
事の発端はコロナ禍によるDXへの対応や空き家問題を課題の一つとして考えていた大和ハウス工業。そんな中、デジタル技術に知見の深い建築家であるnoizの豊田啓介氏が「未来の暮らし」にエンターテインメントの視点を取り入れたらどうだろうと提案します。そこで、noizと共同研究実績があり「XR技術」の研究開発を手掛けるバンダイナムコ研究所とワークショップを実施した結果、3社による共同でプロジェクトがスタートしたのだとか。
建築を専門とする大和ハウス工業とnoizは、リアル空間にどこまでデジタル技術やエンターテインメントを取り入れるか、エンターテインメントに強いバンダイナムコ研究所は、いかにリアル空間にデジタル技術を取り入れるか。3社が専門分野の領域を超えることに挑戦する実証実験、それが本プロジェクト「XR HOUSE 北品川長屋1930」だったんですね。
これまでなかった画期的なバーチャルでの付加価値創出。めちゃくちゃ面白い考え方ですよね。きっとイベント空間にこれらの技術が必須になるのも時間の問題なのでは、と思うのです。実証実験が終わった後、この三社は一体どのような動きを見せるのか、ワクワクしちゃいますよね。さて、エンタメ界隈ともクロスするプロジェクト「XR HOUSE 北品川長屋1930」いかがだったでしょうか?今後も本プロジェクトチームから目が離せない!それではまた!